鑑賞室2へようこそ
こちらも外志男の代表作です。企画展なども開催予定です。
翔鶴
外志男が蒔絵でも好んで描いたテーマで、これはCGデザインです。
冷たく引き締まった樹氷や湖面を背景に描かれる
ダイナミックな羽ばたきが、印象的なコントラストを生みます。
山海の幸
謎の多い作品です。70センチと50センチの、二枚組蒔絵角盆です。
まず皿の縁からご覧ください。
螺鈿と平文が交互に3列に並び、贅沢で煌びやかです。
その内側に、底知れぬ漆黒の空間があります。ところが、そこに描かれているのは、富士や鶴ではありません。ハクサイやニンジン、カレイにエビなど、卑近なものばかり。
(鑑賞室4に原画CGがあります)
まるで、オペラのステージに野良着で立っているようです。
なぜ、バランスの悪そうな画材を、外志男は選んだのでしょうか。
どちらも「正七角形」です。360度を割り切ることができない、不安定な形です。
なぜ、わざわざ、極めて面倒な作りにくい形を、外志男は選んだのでしょうか。
四季が巡り、自然の恵みが手に入るのも、解明できない奇跡の積み重ねです。
「当たり前と思わず、考えてみよう」と提案しているかのようです。
なぜ、手前に立つと、問答無用の安定感があるのでしょうか。
木通(あけび)
秋の日差しのもと、葉や実に柔らかな陰影が生まれた様子です。
それは春や夏に溢れる鮮やかなコントラストではなく、
くすんだような深いにじみとして描きました。
「開け実」が名前の由来で、英語で「akebia」というそうです。
貝桶(かいおけ)
平安時代の貴族の遊び「貝合わせ」で使う、
蛤(はまぐり)を入れる化粧箱です。
紅葉や菊を周囲に散りばめ、曲水の流れも添えて、豪華な秋の風情が溢れます。
山鳥万葉
山鳥は、キジ科の鳥で、全体に光沢のある赤銅色です。
オスの尾羽は極めて長いのが特徴です。
紅葉の陰を、番(つがい)で飛ぶ2羽の姿に、秋の深まりを感じます。
さまよえる真実
外志男の、問題作です。
これまでの作品とは味わいが全く違うので驚かれることでしょう。
これはCG作品ですが、同タイトルの、畳より大きな蒔絵パネル作品もあります。
手前に立つと、微妙な「居心地の悪さ」を感じます。
画面の中央に、全てを見通すような「目」を配置し、涙まで描いて鑑賞者を圧迫します。
マグリットやエルンストに通ずる描き方で、外志男は問いかけます。
「あなたの真実はどこにありますか」と。
カトレア
外志男が好んで描いた花です。元気をもらえる作品です。
蒔絵の図柄としては、梅、桜、菊が定番ですが、外志男はこうした花を商売以外では、ほとんど描きませんでした。その一方、カトレアやコチョウランなど、ランが好きでした。
このCGアートは、オンシジュームとの、2種類のランの競演です。
柔らかで繊細なカトレアの花弁は、存在そのものが、現実と夢幻の狭間にあるようです。外志男はそこに、他の花に無い「美」を感じたのかもしれません。
オンシジュームは、黄色いドレスを着た踊り子のようなかわいらしい花です。まるで女王を囲んで踊っているかのようです。
鑑賞室3でお待ちしております。