鑑賞しましょう

作品について父に取材する息子


父・外志男の作品を、息子・誉と鑑賞しましょう。
ここは「鑑賞室1」です。

星のコンチェルト


螺鈿(らでん)の星団の下に、平文(ひょうもん)や卵殻を組み合わせた、「ピアノの鍵盤」です。高さ60センチの蒔絵オブジェで、巨大な空間を描いています。

正面の形はグランドピアノを思わせ、色調もピアノブラックです。左上空からの星の光が、スポットライトを当てています。

天上の星と地上の鍵盤が、お互いを引き立て合い、響き合い、輝き合っています。蒔絵で表現した、天と地の和音です。

外志男は40歳を過ぎてピアノを習い始めました。いずれはリチャード・クレイダーマンのような曲を弾きたかったのでしょう。

デスクトップ・ランタン

外志男のCG作品のテーマは、「命」だと思います。特に、摘まれた花や、収穫された果実を好んで描いたのは、「死に向かう命の瞬間」がそこにあるからです。
机の上にランタンはありません。しかし、厳然とした輝きがあります。

潮鳴


直接ご覧頂きたい作品です。実際は中央がくぼんでいるのですが、逆に中央が浮かび上がってくるように見える、不思議な作品です。

同じ太さのラインは一本も無く、中央が太く、左右が細くなっています。さらに上下を暗く、中央を明るいグラデーションにしました。

永遠の繰り返しは、外志男が好んで取り上げたテーマです。果てしなく続く「さざ波」を、外志男は50センチ四方の蒔絵角盆に表現しました。一つとして同じ形の波は無く、同じ音で砕ける波はありません。この一枚に、外志男は「永遠」を描いたのでしょう。

外志男は晩年、「群鶴図が2番、鳳凰が3番。1番はこれだ」というほど、気に入っていた作品です。

山の幸


抽象デザインが多い外志男ですが、極めて精細な具象CG画を制作しました。
「分かりやすい作品も作るのか」と息子は意外に思いましたが、
これは完成形ではなかったようです。

外志男は、これとは別に「海の幸」を制作していたのです。

これら二枚とも正七角形(!)の蒔絵盆に作り、

二枚組として、第76回現代美術展に出品しました。
分かりやすいモチーフなのに、なぜ作りにくい七角形にしたのでしょう。
変わり者の蒔絵師が考えたことを、想像してみてください。

不思議なことに、正七角形が二枚並ぶと、問答無用の安定感があります。

黎明

「潮鳴」と同じサイズの蒔絵角盆です。横線の連なりは同じように見えますが、こちらは、中央が縦に浮かび上がっているように見えます。

太陽がまさに水平線に顔を出した瞬間、手前まで光の道が伸びてきます。
外志男の考える「永遠」が、ここにもあります。

プロミネンス

全てを灼き焦がす深紅の炎です。
細かい螺鈿(らでん)と平文(ひょうもん)を組み合わせた、目も眩むような、圧倒的な細工です。
作品には妥協を許さない外志男の姿勢は、まさに炎のように燃え盛っています。
ところで、これは「丸盆」ではありません。角を数えてみてください。

「正二十二角形」です。放射状の線の角度は約16.364度です。
作りにくい角数をわざわざ選びました。直径70センチほどの「角盆」です。

外志男は「人が面倒と思うことも自分は出来る。これは才能かもしれない」と胸を張っていました。不要に見える仕事に燃やす情熱が、外志男の「プロミネンス」です。

「鑑賞室2」でお待ちしております。

他にも作品があります。

鑑賞室2


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